慣性
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物を動かす場合は慣性をよく考慮する必要があります。
下記のように5tonの物を水平方向へ動かすためには重量に摩擦係数を乗じて
5000kg x 0.05(摩擦係数) = 250kg で動かすことができます。
これをエアーシリンダーで動かす場合 エアーの圧力を5kg/cm2、内径φ80mmのシリンダーで動かすことが可能です。
しかしこの負荷率(負荷に対する出力比)では慣性が大きすぎて速度の制御ができなくなります。
また、シリンダー端で慣性力によりでシリンダー自体が破壊される可能性が大きくなります。
直線慣性エネルギーは、 で現されます
1m/sで動作するものとすると 𝐸=(5000×1^2)/2=2500.N.m
このエネルギーを0.2秒 で止めようとすると
(移動距離)は1m/s の速度から0まで0.2秒かかるので 1x0.2x0.5=0.1m
F=2500/0.1=25000N / 9.8 = 2551kgf の力が必要となりこの大きさのシリンダーでは制御できないことでしょう。
通常 負荷に対して70%以上の能力がある シリンダーを選定します。
運動エネルギーから求めると煩雑になるので 運動量から求めることもできます
𝐹(力)=𝑚(質量)×𝛼(加速) であるから (この場合の加速度はマイナス)
F=5000kg x 5 =25000Nとなります。
アブソーバーの使用
どうしても速度を短時間に減速させたいときに使用されるのがアブソーバーです。
前記のようなケースでは、運動エネルギーが2500N.m(J)を吸収できるアブソーバを仮きめして、
ストロークを仮選定します。
下の表から4520Jの最大吸収エネルギーを持つものを選定します。
アブソーバストロークが100mmとありますので、この間、シリンダーの推力エネルギーとしてプラスされるので合計した値が、吸収エネルギー値以下になればこの製品が使用できます。
前頁の251kgfより251 x 9.8 x 0.1 = 246J となり、合計エネルギーは 2500 + 246 = 2746J < 4520J で使用可能と判断できます。