機械材料 イントロダクション
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鋼の製造方法について
どのように鉄が作られるかについては、直接多くの設計そのものに関係はしてきませんが、何事も物事の基本を少しでも知るということは必要と思います。また興味深いことも多く含まれていますので紹介したいと思います。
現在では粗鋼生産量は中国に世界一の座を明け渡していますが以前は世界一であったこともあります。
製鉄会社の方たちには独特の誇りがあるようで昔々”鉄は国家なり”なんていうことが有った時代からの名残かもしれません。
確かに工業の無くてはならないものであり設備も人もけた外れの規模です。国営から出発したのも当然かもしれません。
次に鉄の定義ですが鉄はFeとCの合金のことでC%の含有量によって3種類に分類されます。 鉄 < 0.02% , 鋼 0.02~2.14% , 鋳鉄 > 2.14% と分類されます。
下のフロー図はJFEさんからのものです。非常にわかりやすく解説してくれています。 一番左上にあるのが高炉(溶鉱炉)です。この高炉を持っているか持っていないかで会社のカテゴリーが変わります。 持っているところを高炉メーカー、この後工程である転炉から始めるところを転炉メーカーといいます。
高炉は名前のとおりタワーみたいに高くそびえ立つ炉のことでこの上部から鉄鉱石、コークスを入れていきます。
この炉は基本的に炉自体の改修が行われるまで火は消さないのですが不況で鉄の在庫が多くなった場合はやむなく止めるようです。ここで生成されるものを銑鉄とよびます。
この銑鉄は非常にC(炭素)を多く含んでいます。 転炉はとっくり型で炉全体を傾けて鍋をひっくり返すように中身を取り出せます。転炉の目的は銑鉄の精錬です。 Cなど多くの不純物を取り除き脱酸も行います。
下の図は転炉を示しますがこの行程を製綱といい転炉のほかに電炉(電気炉)が有ります。電炉は鉄くずが主原料で、小回りが利くとあります。
反面 不純物除去などの成分調整がしにくいようです。 転炉からでてきたものを粗鋼と呼びます。スラブ、ブルーム、ビームブランクがすべてそれに当たります。これは形において後の圧延工程に適した形状ごとに呼び名がついています。
圧延工程において熱いうちに処理するものを熱間圧延、冷えてから行うものを冷間圧延とよびます。 熱間圧延に関しては冷えていく過程で表面に黒皮が精製されます。 冷間圧延材は冷えてから無理矢理形状を作りますので大きな内部応力が中に残存し溶断、溶接、加工により形状が変形しやすくなります。
上の製錬工程が終わった後の溶鋼には酸素や窒素のガスが残存しておりこのガスを脱酸剤を入れてガスを十分抜いたものをキルド鋼といい比較的高級な鋼材に使われます。 脱酸力の弱いものを使い泡が十分取り除く前に型に流し込むと左下のような対流が起こり周辺から固まっていきます。
最初に固まる周辺は溶融点が高く純度も高いのですが内部に行くに従い不純物も多く泡も消えないまま残ります。
このような鋼をリムド鋼と呼ばれます。その後圧延されますのでこの泡がそのまま残ることはありませんがたまに内部に亀裂が残る場合もあります。
従いよく焼きも入れないのに力のかかるネジ部などにS55Cなどが使われるのはこの亀裂をさけるために品質が良いキルド鋼を使いたいためです。焼きを入れない限り引っ張り強度はS55CもSS400も変わりはありません。