金属材料
日頃より本コンテンツをご利用いただきありがとうございます。
今後、下記サーバに移行していきます。お手数ですがブックマークの変更をお願いいたします。https://kousyou.synology.me
金属の定義
常温、常圧の下で不透明な固体で金属光沢があり展性、延性があり機械加工を施すことができ、電気、熱の良伝導体” ”元素周期表で金属に分類されているもの”これらの定義は我々実際の機械、金属関係者にはあまり意味を持ちません。 あまりにも例外が多く分けておく意味も利点もありません。 金属といえば多くの人は鉄を連想し、軽い金属といえばアルミニュウム、貴金属といえば、金、銀、銅、プラチナ、重い金属といえば鉛を思い浮かべます。これの延長線上に知識を伸ばしていくのが金属というものを理解する早道かと思います。
特徴
金属は(鉄)はとても固いイメージがありますが実は変形がとても得意な材質でこの特徴のために広く工業材料として使用されています。
1,塑性(そせい)、弾性変形をする
塑とは土を削るという意味で下のように押されたものが元に戻らないでその後を残すこと、弾とはバネとか、ゴムのように力を なくせば元に戻る変形のことです。
2,展性、延性がある
文字通り広がってのびることです。もっとも身近にあるものはアルミフォイール、金箔などです。 金箔の技術は感動もので薄さなんと0.0001mm以下です。下の図のように展性が高いものは変計量が大きくアルミチューブなどによく使用されます。
3,もろさ、ねばさがある
これは機械加工を実際にやったことのある人、金属の検査をしている人でないと理解しにくい表現かもしれません。 もろさとはたとえば刃物を固く固くすれば切れ味は良くなりますが衝撃に対しては弱く刃こぼれを起こすことになります。
ねばいは難しいです。もちろん塑性、弾性、延性の高いものは、ねばいものが多いですがこれは金属を扱う人の感覚によるところが大きく一概には説明ができません。 柔らかい金属は確かに切削するときに刃物に食いついて時に加工物にダメージを与えたり刃物が折れたりすますのでこれらの材料をねばいと表現する人もいますが柔らかいからといって延性が高いともいえません。
4,さびる
さびとは酸化皮膜のことで鉄には黒さびと赤さびがあるが一般にさびと赤さびのこと言う。 黒さびはどちらかというと鉄を保護するもので代表的には南部鉄の鉄瓶などです。 黒さびは高温に熱せられた鉄を水の中に入れるなど、一気に冷やした場合にだけ発生します。
5,熱処理により組成組織に変化が起き上記の性質、硬さを調整できる
熱処理はいろいろな方法があり、理論も深く入り込まなければ理解できません。ここでは単に以下の用語を覚えておきましょう。 焼き入れ --> 熱くしたものを急冷して固くする処理 焼き鈍し --> 熱くしたものをゆっくり冷やし柔らかくする、残留応力を取り除く 焼き戻し --> 一旦焼き入れした下ものをもろさ、残留応力を取り除くために調整する再加熱 焼きならし --> 変態点以上の温度に加熱して空気中で放冷すること。
6,加工硬化が起きる
加工硬化とは金属を冷間(常温)でのばしたり縮めたり変形させると金属内部の結晶が変形し残りそれが抵抗になることにより起きます。 一番わかりやすいのがゼムクリップを何回か折り曲げているとポキンと折れますね、あれが加工硬化です。 一旦加工硬化で固くなった金属も加熱する事により結晶が再配列され硬化が無くなります。
なんだかお餅ちみたいですね。 アルミ箔の橋をに10円を乗せても大丈夫 これのアルミ箔の橋を火であぶってみる アルミ箔は冷間で作られるので固くなっ ていたのに火であぶったことにより柔 らかくなってしまいます
7,残留応力がある
金属に外部的に力を与えて変形した場合、一部分だけに熱を加えたときなどに金属内部に残留応力が生じます。 これらの残留応力を放っておくと長い時間の間に変形が生じて問題になる場合があります。 それらを防ぐために再加熱(焼き鈍し)を行います。これらの処理を焼鈍と呼びます。 今はほとんどみられなくなりましたがさらに残留応力を除去するために枯らしといって機械加工をする前に常温で放置し変形が無くなるまで待ちます。木材でも高級なピアノとかに使用されるものは枯らしをします。
冷間で金属を加工した場合(溶断、溶接を含む)必ず残留応力が残ります。 以上がはじめに覚えていただきたい金属の特徴です。 それぞれについて少しづつ深く理解していく必要がありますがまずはここまでをひとまとめとして理解しましょう。
金属の熱による影響
1、熱により合金の硬さが損なわれる。組成が変わる
2、熱膨張によるひずみ、熱応力が発生する
物体は熱せられるとあらゆる方向に膨張し(冷却されるとあらゆる方向に収縮し)熱ひずみが発生する。何らかの拘束があれば熱による変形を妨ぐため応力が生ずる
3、導電率が変化する。温度が高くなるほど抵抗が低くなる。
溶断、溶接時の熱の影響によりひずみが発生する。それらをを抑える方法
① 水冷による温度上昇防止 切断中,水を鋼材にかけ冷やす。
② 切断方法(刃物)を変える レーザ切断が一番熱変形が少なく,プラズマ,ガス切断の順となる。
③ 切断順序による方法 切断順序を変え,熱が均一にかかる順序で切断する。
④ 予加熱 入熱量を一定にする方法で,例として,フラットバー切断時の鋼材両端を加熱する等。
⑤ 焼きなましをして内部応力を事前に取り除き極力熱によるひずみを抑える
熱の影響を受ける構造物材質
構造部品は耐熱鋼を使用する。
耐熱鋼とは耐酸化性、耐高温腐食性又は高温強度を保持する合金鋼のこと
切削工具などは、超硬合金(融点2900°)、セラミックでの代替えをおこなう。
金属の大敵“さび”の現象と、その対策
サビ発生の要因
要因1: 鉄の場合、相対湿度60%以上になると鉄表面が水で覆われるためサビが発生することがある。梅雨の時期や、冬期間は注意が必要
水中のサビは、溶存酸素(水中に溶けている酸素)の量によってサビが発生します。また、水のph(酸性、アルカリ性)によって腐食量は違い、phの低い(酸性)の水のほうが、腐食しやすくなっています。高アルカリ性では、黒や茶褐色のサビが表面を覆うため、腐食速度そのものは落ちる。
要因2:電気伝導度
電気伝導度(電気の通りやすさ、水中に存在するイオンの量)により、サビやすさが違う。電気伝導度が高いほど腐食しやすくなる。そのため、電気を運ぶイオンの少ない純水中では腐食が起こりにくくサビ(腐食)が進行しにくくなります。水道水:電気伝導度100~1000μS/cm程度。イオンが多く、腐食電流が流れやすいのでサビが進行しやすい。 純水:電気伝導度1μS/cm程度(絶縁体に近い)
サビの防止
塗装
さび止め塗装のあと塗装を行う。紫外線などにより劣化するので塗り直しが必要
黒染め処理
何も処理しないよりは効果がある程度
メッキ
効果が一番期待できるが高価、大きさの制限がある
ステンレス、アルミの使用
防錆効果の高い種類のものは焼きが入らず、強さが足りない場合ある。硬いものになると比較的さびやすくなる。
これらの特色を理解して随時 適切なものを選定する必要がある。