摩擦
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静止摩擦
物体が止まっているときに水平力 F で動かそうとするとき はじめ水平力 F の小さい場合は 物体は動かない。
これは接触面に外力 Fと同じ大きさ、向き反対の力が物体に作用するからであり この現象を摩擦と言い この抵抗力を摩擦力という。
この摩擦力が ある限界に達すると 物体は動き出す。
このときの摩擦力を最大静止摩擦力という。
下の例で 示すと 最大静止摩擦力は 3kgfである。
このときの物体の重量は10kgであるから この物体に働く反力も10kgになる。
反力と摩擦力の比を摩擦係数という。
静止摩擦係数(μ) = 最大静止摩擦 (F) / 反力(重量) (W) 下の場合 0.3 となる。
摩擦係数は 接触面の均一で同じの場合 物体の接触面積に影響を受けない。
下の図と上の図は同じ摩擦係数となります。
しかし 実際は理論とおり同じとならない場合が多い。 ウォータースライダーなどで 座った姿勢と 寝そべった姿勢では 滑る早さが 違うのは 経験的に解っています。
摩擦は 実は まだよくわかっていないことも多く 理論値だけで設計することは 危険で 実験値に基づき計画することが重要です。
外力をかける変わりに 接触面を傾けていき 物体が滑り出す角度 と摩擦係数の関係は μ = tan θ で表されます。
このケースの場合 μ=0.3 なので 0.3 = tan θですから tan-1. 0.3 = 16.7 °となります。 約17°で滑り出すことになります。
物体が接触面に接触しながら等速で動いているときに生じる摩擦を動摩擦係数と呼ぶ。
一般的に 接触面が同じであれば 静止摩擦係数 > 動摩擦係数である。
転がり摩擦
鋼球をゴムの上とガラスの上を転がした場合 ガラス板の上を転がした方が早く転がります。 この現象を転がり摩擦と言います。
転がり摩擦は 現象が複雑でまだ 一般的な法則は取り決められていません。
一般的に左の図のような現象が起きていると考えられているが 接触面の状態がいつも完全に同じにはなり得ない。
各材料の摩擦係数を示します。(設計便覧より転載しております)
鉄と各材料との摩擦係数 | |||
ベリリウム | 0.43 | パラジウム | 0.65 |
炭素 | 0.15 | 銀 | 0.32 |
マグネシウム | 0.34 | カドミウム | 0.67 |
アルミニウム | 0.82 | インジウム | 0.32 |
けい素 | 0.58 | すず | 0.29 |
カルシウム | 0.67 | アンチモン | 0.26 |
チタン | 0.59 | テルル | 0.35 |
クロム | 0.53 | バリウム | 0.89 |
マンガン | 0.57 | セリウム | 0.5 |
鉄 | 0.52 | タンタル | 0.58 |
コバルト | 0.46 | タングステン | 0.47 |
ニッケル | 0.58 | イリジウム | 0.51 |
銅 | 0.46 | 白金 | 0.56 |
亜鉛 | 0.5 | 金 | 0.54 |
ゲルマニウム | 0.66 | タリウム | 0.68 |
セレン | 0.43 | 鉛 | 0.52 |
ジルコニウム | 0.55 | ビスマス | 0.4 |
コロンビウム | 0.57 | トリウム | 0.82 |
モリブデン | 0.47 | ウラン | 0.5 |
ロジウム | 0.54 |
ころがり摩擦係数 | ||
回転体 | 転がり面 | ころがり摩擦係数ρ |
1/16 Inch Φ鋼球 | 硬鋼 | 0.00002 |
1/16 Inch Φ鋼球 | 軟鋼 | 0.00004~0.0001 |
1/16 Inch Φ鋼球 | 黄銅 | 0.000045 |
1/16 Inch Φ鋼球 | 銅 | 0.00012 |
1/16 Inch Φ鋼球 | アルミニウム | 0.001 |
1/16 Inch Φ鋼球 | すず | 0.0012 |
1/16 Inch Φ鋼球 | 鉛 | 0.0014 |
1/16 Inch Φ鋼球 | ガラス | 0.000014 |
非金属の室温、大気中の固体摩擦係数 | ||
摩擦片 | 摩擦面 | 摩擦係数μ |
石(レンガ) | 石(レンガ) | 0.6~0.7 |
石 | 金属 | 0.3~0.4 |
石 | 土 | 0.5(乾)~0.3(湿) |
土 | 土 | 0.25~1.0 |
木 | 木 | 0.5(乾)~0.2(湿) |
木 | 石 | O.4 |
木 | 金属 | 0.6(乾)~0.2(湿) |
ゴム | ゴム | 0.5 |
毛織 | 毛織 | 0.44 (*1) |
布地 | 布地 | 0.44 (*1) |
皮革 | 金属 | 0.4~0.6 |
ナイロン | ナイロン | 0.15~0.25 |
テフロン | テフロン(鋼) | 0.04 |
コルク | 木(松) | 0.5 (*1) |
カーボン | 軟鋼 | 0.21 (*1) |
ガラス | ガラス | 0.7 (*1) |
水晶 | 水晶 | 0.9 (*1) |
ルビー | ルビー | 0.16 (*1) |
銅(黄銅) | ガラス | 0.25 (*1) |
焼入鋼 | ガラス | 0.7 (*1) |
焼入鋼 | ルビー | 0.25 (*1) |
焼入鋼 | 水晶 | 0.8 (*1) |
鉄 | 氷 | 0.027 (*1) |
氷 (*2) | 氷 (*2) | 0.3~0.5(0.025 (*1)) |
スキー | 雪 (0°) | 0.08 ( 0.06 (*1)) |
(*1) 運動固体摩擦係数を示す | ||
(*2) 融点よりやや低いところで測定 |
設計において摩擦に関することで、お困りのことも多いと思います。 私どもにも何件か下記のようなお問い合わせをいただいていますが、摩擦に関しては、是非 実機になるべく条件を近づけて簡易的に実験を行うことをおすすめします
----------- いつも ご活用いただき感謝いたします。 まず、 摩擦係数のdataは、便覧からのものです。
Weで解説しているとおり摩擦係数は、全く机上の計算では予想がつきません。 とは言うものの、 アクチュエーターの選定にはどうしても必要でしょうから 最悪のケースを想定してください。
そして 出来上がったもので調整できるよう あらかじめ設計されることをお勧めします。
同じ材質の組み合わせでも、面と面、 面と球、 エッッジと面などの組み合わせでも 変わります。
どうしても事前に正確な値が必要な場合は、実験以外に方法はありません。
それも、どのようなところに使用するかですが、もし、重要部位ですと耐久試験も 欠かせません。
摩擦ですれることにより面荒れが起きて思いもよらない結果を生む場合も あります。
以上で参考になれば幸いです。
光匠 野々山
>> 光匠技研 御中
>
> ご担当者 様
>
> 初めまして上野と申します。
>
> 勉強になるHPで感謝しております。
>
> ご質問ですが、各材料の摩擦係数のデータがありますが、この値は実験値でしょうか?
>
> 今回、亜鉛メッキとステンレス(SUS304)の組み合わせですが、なにかデータをお持ちでしょうか?
>
> JIS規格がないのでどの値を使用するか困っています。
>
> 通常、SUS304で0,4~0.6 亜鉛メッキで0,1~0.3 ですので最小値をとり0,4+0.1=0.5で計算しようと
>
>思っています。
>
> アドバイス宜しくお願いします。