クリープと疲れ
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クリープと疲れ
常温で鋼製の試験片に静荷重を加えて引張ったときには,応力・ひずみ線図は引張っている時間にはほとんど関係がないが ,鉛・すずのような低溶融金属では試験片を一定の荷重で引張っていると、ひずみは時間とともに増加していきます。 この現象をクリープといいます。
鉄・鋼・耐熱合金でも温度が高くなればクリープ現象をおこします。
右図(a)において、Iの曲線は,温度が高いか、応力の値が大きいか、また両方が重なったとき IIの曲線は、IとIIIの状態の中間、 III・の曲線は,低温で応力の値が小さいとき。
また図(b)において、一定の荷重が加わるとき時間が増加するにともなって、
OA: 弾性変形
AB: 時間の経遇にしたがってひずみ速度が減少する(第1次クリープ)
BC: ひずみ速度が一定となるため直線になっている(第2次クリープ)
CD: ひずみ速度が急激に上昇しD点で破断する(第3次クリープ)
IIIでは、ある時間が経過すると荷重がかかっていても伸び(ひずみ)は増加しない一定値となりクリープ現象がなくなる。 このクリープ現象のあらわれない最大応力を、 クリープ限度といいます。
材料にくり返し荷重が作用すると静荷重で破壊するときよりはるかに小さい荷重で破壌することがある。 このような現象を疲れといい、疲れが原因である破壊を 疲れ破壌という。
構造物が破壊するのは、この疲れ破壊によると思われるものが相当にある。
くり返し荷重が小さいときには、荷重がどんなにくり返し加えられても材料は破壊されない。
この疲れ破壊を起こさない最大の応力を疲れ限度という。
疲れ限度より大きな応力を過大応力、疲れ限度より小さな応力を過小応力と呼ぴ、一般に過大応力を生じた材料の疲れ限度は処女材料の疲れ限度より小さく、過小応力を生じた材料の疲れ限度は処女材料の疲れ限度より大きい。
過大応力が大きいほど、またその繰返数が多いほど疲れ限度の低下は甚だしい。
過小応力が疲れ限度に近いほど、またその繰返数が多いほど疲れ限度の増大割合は大きいが、その割合は一定値に近づく下左図は疲れ限度よりわずかに小さい。
過小応力を加えた鋳鉄について,その繰返数と疲れ限度の増大率を示したもので 1.5 X 10^7 の繰り返数によって疲れ限度は約 25% 増大し、,それ以上の繰返数に対しては ほぼ 一定である。
過大応力を生じても その繰返数が少なけれぱ、必ずしも材料の疲れ限度は低下しない。
疲れ限度が低下しないために許される過大応力とその繰返数との間には下右図において、点線で示されるような関係がある。 この曲を損傷曲線という。
繰返荷重をうける場合には、疲れ限度以下の応力になるよう設計しなければならない。 しかし使用中の予想繰返数が 10^7 回以下ならば、疲れ限度以上の応力を生じても差支えないが,その大きさはS‐N曲線に基づいて決めねばならない。
たとえば図右のようなS-N曲線をもつ材料に25kg/mm2の応力が 5x10^5回繰返されれば破壊する。 この応力が1日100回繰返し生ずれば (5 X 10^5 / 100)日 = 13.7年の使用に耐えることになる。
これに対して毎分1700回の往復運動をする圧縮機のパルププレートは、終夜運転をするとして、1日に 25 x 10^5回の繰返荷重をうけるから,繰返数は4日で 10^7 回に達する。 したがい応力を疲れ限度以下にしておく必要がある。
通常のS-N曲線は規則的に変化する繰返荷重に対して求められている。 しかし、 一般には不規則に変化する変動荷童をうける場合が多い。
このような場合には実際の使用状態における応力変動を記録し破壊までの寿命を想定する。
鋼のみが、降伏点をもちます。
アルミの場合は、降伏点のかわりに0.2%耐力といった値を使います。
アルミは下記のようなひずみ線図になり明確な降伏点がわかりません。 そこで0.2%の永久ひずみ変形を起こす応力値を便宜上降伏点と同じとみなしましょうというものです。
鋼と違って、疲労限度がありません。いつかは壊れます。 上図がアルミのS-N線図です。 応力をいくら減らしていっても繰り返しによる疲労がなくなることは、ないことを示しています。 航空機は離着陸等の回数で、定期点検による疲労破壊の亀裂のチェックをしています。
鋼でも溶接部は、疲労限度が無い。アルミと同じです。 鉄道・道路の橋は定期点検をして、老朽化してきたら、掛け変えをします。