検図チェックシートの作り方
検図作業で必要な知識
検図を行うためには、図面に書かれているすべての要素に対して十分な知識がなければ、検図はできません。
製図、加工、材料力学、力学、機構などの知識が必要になります。
初心者には検図は不要?
機械設計は、組織で適材適所の役割を担当して、一つの成果物として完成させます。検図にも適材適所の検図というものがあります。初心者にも検図すべき箇所が多くあります 。
最も重要なのはセルフチェックです。
検図でチェックリストは、必須アイテム
チェックリストは検図での抜け漏れを防ぎ、ミスを減らすのに非常に効果的です。
また、ミスにミスを重ねることも防止ししてくれます。
ただし、くれぐれも チェックリストをチェックすることが仕事ではなく、ミスを減らすためのチェック行為で抜け漏れを防ぐための道具がチェックリストということを理解しましょう。
チェックリストは自前が基本
よく使われているのが 下記のようなチェックリストではないでしょうか?効果はもちろん有ります。しかしこれだけでは足りません。 色々と試してみて効果が上がるものを残すことが必要です。 そのためには、チェックリストは、自社用に自前のものを作成しましょう。 以下 チェックリストの参考を各 目的ごとに示します。
単純、簡単、明快なリストにすること
適用される設問が多いこと -> 不要な設問は、業務の時間をつぶす改悪
具体的な設問であること -> NG 例 過剰品質になっていないか? 機能の部分的な欠陥はないか?
一つの設問で多くの確認をしない -> NG 例 対振動、対騒音、対地震、対風水害(台風)など必要な対策を考慮しているか
「うっかりミス」が発生する要因、それを防ぐチェック項目
うっかりミスは、集中力不足、時間的制約での確認不足などの要因から起こります。 すべての設計フェーズで起こりえます。多岐に渡るため、ミスの履歴から頻発するミスにターゲットを絞り効率の良いチェック項目を設定します。
全体での位置理解 | ① | 番線方向違い、抜け | |
② | 仕様不適合(受け位置間違い、断面間違い、打点位置ミス) | ||
③ | 同じような形状物は必要最小限に統一されているか? | ||
④ | 規格、規制ルールー違反 | ||
組図 注記確認 | ① | 左右対称指示確認 | |
② | 日産の場合は 「承認印無き物は無効」 の注記が各ページに必要 | ||
③ | 変番に関する注記のチェック | ||
④ | 表紙記載の 総枚数・図面サイズ のチェック | ||
組図の部品個数型式 ・ メーカー名の確認 |
① | 部品図と組図に記載されている部品個数の整合性のチェック | |
特に RL がある部品については、正しく記載されているか気をつける | |||
② | 規格品・製作品の区分のチェック | ||
③ | 購入部品の型式・メーカー名のチェック | ||
* | 必ず カタログを調べる・・・型式が変更になっている場合もあります | ||
④ | 規格品・製作品・購入品の個数チェック | ||
ボルトやねじ関係は個数を間違えやすいので、要注意 | |||
⑤ | フウセンのもれは無いか、フウセンの名称はすべて記載してあるか確認 | ||
* | 全てにおいて 型式・個数等 参考図のままになっていないか確認すること |
「仕様の見落とし」が発生する要因、それを防ぐチェック項目
仕様の見落としは、経験、認識不足、抜け、漏れ、時間的制約での確認不足などの要因から起こります。 チェックリストは非常に有効にそれらを防ぐことができます。
「部品干渉」が発生する要因、それを防ぐチェック項目
部品干渉は、確認不足、気が付かなかった、判断基準の甘さなどの要因から起こります。
干渉は、チェックリストだけで防ぐのは困難です。作業標準書などと合わせての運用が必要です。
組み合わせ | どちらかは | 両 方 共 固 定 | ||||||||||||||
両 方 可 動 | ||||||||||||||||
最小 | 適性 | 最小 | 適性 | |||||||||||||
① | A | A | 10 mm | 15 mm | 10 mm | 15 mm | ||||||||||
② | A | B | 5 mm | 10 mm | 5 mm | 10 mm | ||||||||||
③ | A | C | 10 mm | 15 mm | 10 mm | 10 mm | ||||||||||
④ | A | D | 10 mm | 15 mm | 10 mm | 10 mm | ||||||||||
⑤ | B | B | 3 mm | 5 mm | 2 mm | 5 mm | ||||||||||
⑥ | B | C | 5 mm | 5 mm | 5 mm | 5 mm | ||||||||||
⑦ | B | D | 5 mm | 10 mm | 5 mm | 10 mm | ||||||||||
⑧ | C | C | 10 mm | 20 mm | 5 mm | 10 mm | ||||||||||
⑨ | C | D | 10 mm | 20 mm | 5 mm | 15 mm | ||||||||||
⑩ | D | D | 20 mm | 50 mm | 20 mm | 50 mm | ||||||||||
A | 購入品 (ガン・シリンダー 等) | ||||||||
B | 製作品 (現合カット可能) | ||||||||
C | 製作品 (現合カット不可) | ||||||||
D | パネル | ||||||||
「寸法、幾何公差」間違いが発生する要因、それを防ぐチェック項目
寸法ミスは、抜け、漏れが、ほとんどです。 幾何公差、寸法の入れ方については、主に設計スキル不足に起因するものでチェックリストで防げる範囲はあまり多くは、ありません。
「購入部品選定」間違いが発生する要因、それを防ぐチェック項目
「材料選定」間違いが発生する要因、それを防ぐチェック項目
「形状不備」「組付不良」が発生する要因、それを防ぐチェック項目
設計スキル、集中力不足、確認不足などから起こります。 確認方法、他者の目を通すなど標準手順、とチェックリストの併用が効果的です。